中学生でもわかる決算|もうけは過去最高なのに、お金は増えていない? 家畜のエサの会社フィード・ワン(2060)

10D食料品

決算って、むずかしそうですよね。今回は、中学生でも読めるように、できるだけ身近な言葉で決算を読んでみます。題材は、牛や豚、にわとり、魚のエサを作っているフィード・ワン(2060)です。10月29日に、4月から9月までの半年分の成績(中間決算)が出ました。先に結論を言うと、「もうけは過去最高、でも手元に入ったお金は少ない」という、ちょっと不思議な決算でした。

どんな会社?

フィード・ワンは、家畜や養殖の魚が食べる「エサ」を作る会社です。とうもろこしなどの原料を混ぜて作るので、「配合飼料」と呼ばれます。国内では全農に次ぐ2位で、牛・豚・鶏のエサのシェアは約15%です。売上の77%が牛・豚・鶏のエサ、9%が養殖の魚のエサ、14%が卵やお肉の食品です(2026年3月期)。

エサの原料は、8割以上を外国から買っています。そのため、為替(円とドルの交換レート)や、外国の天気で、原料の値段が動きやすい会社です。会社の規模は、時価総額で約514億円の小型株です。

気になる数字(10項目チェック)

気になる数字(冒頭チェック)

この図は、私が会社を見るときの「チェック表」です。左が今の値、右が10年分の動きで、緑の●は基準を満たしたもの、橙の▲は注意して見るものです。上の3つは「株価が安いか」を見る項目で、3つとも基準に入りました。下の10項目では、●が4つ、▲が6つでした。▲が多いのは、もうけが少ない薄利多売の会社で、原料の値段によって数字が大きく動くからです。2023年3月期のへこみが、いくつもの項目に出ています。むずかしければ、「緑は順調、橙は様子を見る」と思ってください。

今回の成績表

まず売上です。半年で1,567億円で、前の年の同じ時期より10.1%増えました。もうけを表す営業利益は43億円で、32.8%増えています。さらに、利息や配当の出入りも足し引きした「経常利益」は45億円(+21.2%)で、中間決算として過去最高でした。

ただ、フィード・ワンは「薄利多売」の会社です。売上が100円あったとき、原料などにかかったお金が約89円、販売や管理にかかったお金が約8円で、最後に残るもうけは、約3円(2.8%)しかありません。

売上100円の使いみち

もうけが少ない分、原料の値段が上がったり、売ったお金をすぐ受け取れなかったりすると、ぐらっと揺れやすい会社だと私は見ています。

どの事業が稼いだ?

稼ぎ頭は、牛・豚・鶏のエサで、もうけは57.4億円(+26.4%)でした。売れた量は前の年とほぼ同じ(+0.8%)なのに、もうけが増えたのは、値上げと、性能にちがいのあるエサが売れたからです。たとえば、暑さに強い家畜向けのエサなどです。

反対に、魚のエサは苦戦しました。売れた量は33%も増えたのに、もうけは1.8億円で、前の年より74%減っています。原料の魚粉(魚をこなにしたもの)の値段が、前の年より約52%も上がったためです。

気になるのは「お金が増えていない」こと

ここが、いちばん大事なところです。もうけ(利益)と、実際に会社に入ってきたお金は、同じではありません。

たとえば、お店がお客さんに商品を渡して、「代金は来月でいいよ」と言ったとします。売上にはなりますが、お金はまだ手元にありません。この「まだ受け取っていない代金」を、売掛金といいます。

フィード・ワンは、売上が増えた分、売掛金など(売上債権)が約48億円増えました。さらに、税金の支払いが18億円ありました(前の年は1億円ほど)。その結果、本業で実際に入ってきたお金(営業キャッシュフロー)は、6.6億円だけでした。前の年は81.7億円なので、大きく減っています。手元の現金も、半年で110.9億円から92.8億円に、約18億円減りました。

もうけは増えたのに入ってきたお金は減った

ただ、前の年は、たまたま「お金が戻ってくる」方向の動きが重なっていて、よすぎた面もあります。

実は、過去にも似たことがありました。2023年3月期は、原料の値段がとても上がった年で、営業キャッシュフローが−78億円になりました。でも、次の年は+111億円に戻っています。今回も戻るのかどうかは、半年の数字だけでは分かりません。

これからの予想

会社は、1年間の予想を変えていません(経常利益88億円)。半年で45億円を稼いだので、残りの半年は約43億円です。これは、前の年の後半(約49億円)より、約12%少ない計画です。半年では+21.2%と大きく伸びたのに、1年では+2.2%の予想というのは、後半は伸びないと見ている、ということです。理由は、資料に詳しく書かれていません。

魚のエサには、後半で13億円のもうけを見込んでいます。前の年の後半は約7.6億円なので、大きな回復を期待していることになります。

株価と配当は?

株価は、11月4日の終値で1,336円でした。10月中旬の高値1,477円から、約9.5%下がっています。

PERは7.87倍です。株価が、1年分のもうけ(会社の予想)の約8倍、という意味です。小さいほど割安で、私は15倍未満をひとつの目安にしています。PBRは0.79倍で、会社の財産から借金を引いた価値(純資産)より、株価のほうが低い状態です。

配当利回りは3.89%です。会社は、1年で1株52円の配当を予想しています。1,336円の株なら、52÷1,336で約3.9%です。100万円分の株を持っていると、1年で約3.9万円(税金を引く前)の計算になります。ただ、予想は約束ではありません。

配当の10年

配当は、10年で22.5円から45.5円へ、約2倍になりました。減らした年は、一度もありません。2023年3月期に、もうけが大きく減ったときも、25円の配当を守っています。

まとめ

順調なのは、牛・豚・鶏のエサの稼ぐ力です。売れる量が同じでも、工夫でもうけを増やせました。借金も、いちばん多かった2023年3月期の360億円から、2026年3月末の246億円まで減っています。気になるのは、もうけがお金になっていないことと、後半の予想が前の年より少ないことです。順調な部分と今後の課題、どちらの影響が強いのか。私は、「売掛金が後半にきちんと回収されるか」で決まると思っています。みなさんはどう読みますか?

次の決算のメモ

  • 11月17日の機関投資家・アナリスト向け決算説明会:後半の予想の理由、魚のエサの回復の根拠、売掛金の回収の見通し

免責

このブログは個人の見解であり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。掲載の数値は執筆時点で確認できたものです。

出典

  • フィード・ワン 2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年10月29日)
  • フィード・ワン 2027年3月期 中間期決算補足説明資料(2026年10月29日)
  • 売上・利益・配当・有利子負債:IR BANK
  • 株価・時価総額・PER・PBR・配当利回り:Yahoo!ファイナンス