昨日、ニホンフラッシュ(7820)の業績回復ストーリーを書いた。
赤字転落、3年連続減収、営業キャッシュフローもマイナスに転落。それでも配当利回りは4.56%、PBRは0.6倍という割安水準。「ここから業績が回復すれば、株価も配当も両方おいしい」という話だ。
あの記事を書きながら、ずっと頭の片隅にあったことがある。
「でも、これって賭けだよな」と。
業績回復が来なければ減配、最悪は無配になる。株価もさらに下がる可能性がある。「長期で絶対売らない」「配当で生活したい」と決めている投資家にとって、それは致命傷になりかねない。
ニホンフラッシュはロマンがある銘柄だ。でも全員がそのロマンを買えるわけではない。
そこで今日は、ギャンブル要素なしで、同じその他製品セクターから長期高配当投資に向いた2銘柄を紹介する。「安定した配当収入を、できるだけ長く、できるだけ確実に受け取りたい」という人に向けた記事だ。
そもそも「良い高配当株」とは何か
高配当株を選ぶとき、利回りだけを見ている人は多い。でも利回りが高いだけの銘柄は危ない。
なぜなら、利回りは株価が下がれば自動的に上がるからだ。
配当100円 ÷ 株価1,000円 = 利回り10%
これは一見魅力的だが、株価が1,000円になった理由が「業績悪化」なら、次の配当は50円に減るかもしれない。そうなれば利回りは5%に半減するし、株価もさらに下がる。
本当に良い高配当株には3つの条件がある。
①営業キャッシュフローが安定してプラスであること
利益は会計操作でいじれるが、現金は嘘をつかない。事業が生み出す現金がプラスであり続けることが、配当を払い続ける力の源泉だ。
②配当性向が高すぎないこと
利益の大半を配当に回している会社は、少し業績が悪化しただけで配当を維持できなくなる。性向が低いほど、減配せずに耐えられる余力がある。
③業界に構造的な追い風、または強固なニッチがあること
衰退する業界で高配当を出している会社は、いずれ配当を維持できなくなる。10年・20年先も同じビジネスが成り立つかどうかを考える必要がある。
今回紹介する2銘柄は、この3条件をすべて満たしている。
①オカムラ(7994)配当利回り4.15%
会社概要
オカムラは、オフィス家具業界の最大手だ。デスク、チェア、パーティション、収納システム。日本中のオフィスにオカムラの製品がある。売上高は3,145億円(2025年3月期)で、業界トップの規模を誇る。
近年は純粋なオフィス家具メーカーの枠を超え、物流自動化システムにも力を入れている。倉庫のマテリアルハンドリング機器や自動仕分けシステムは、ECの拡大とともに引き合いが増えている分野だ。オフィス家具だけでなく、物流という別の成長エンジンを持っているのが強みだ。
配当の歴史が語る「信頼性」
オカムラの配当推移を見てほしい。
- 2015年3月期:17円
- 2016年3月期:24円
- 2017年3月期:24円
- 2018年3月期:26円
- 2019年3月期:28円
- 2020年3月期:32円
- 2021年3月期:32円(コロナ禍も減配なし)
- 2022年3月期:40円
- 2023年3月期:55円
- 2024年3月期:86円
- 2025年3月期:94円
10年間で17円から94円。約5.5倍だ。しかもコロナ禍の2021年も減配していない。これは単なる偶然ではなく、経営陣の「株主還元を継続する」という強い意志の表れだと思っている。
配当性向が「健全」という安心感
オカムラの配当性向はここ数年で29〜40%の範囲で推移している。利益の4割以下しか配当に回していない、ということだ。
仮に業績が2割悪化しても、配当をすぐに削る必要がない。それどころか、今の性向の水準ならまだ増配余地がある。「今後も配当が増え続けるかもしれない」という期待が持てる数少ない銘柄だ。
「2025年3月期のCF急減」は問題ではない
2025年3月期の営業キャッシュフローが、前年の213億円から9.8億円へと急落している。これを見て不安になる人もいるだろう。
ただ、理由を調べると全く心配不要だとわかった。原因は長野県須坂市への新工場建設と、静岡県御殿場市への物流センター・新工場建設への大型投資だ。売上は3,145億円で過去最高、利益も220億円で増益。配当は94円に増配している。
むしろポジティブに見ることもできる。今打っている新工場・物流センターへの投資が稼働すれば、数年後のCFはさらに改善するはずだ。
②ニッピ(7932)配当利回り5.41%
「コラーゲン」の会社って何をしているのか
ニッピと聞いてピンとこない人も多いだろう。コラーゲンとゼラチンの専業メーカーだ。
コラーゲンといえば化粧品や食品のイメージがあるかもしれないが、ニッピのコラーゲンは主に産業用・医療用だ。腸衣(ソーセージのケーシング)、医療用縫合糸、再生医療向けの足場材料、皮革製品。地味だが、どれも代替品を作りにくいニッチな分野だ。
原料は牛・豚の皮や骨、つまり動物由来の素材だ。ここが重要なポイントで、石油化学製品を原料としないため、原油価格の影響をほぼ受けない。資源高・円安の局面でも原材料コストが跳ね上がらない。
10年連続プラスのキャッシュフロー
ニッピの営業キャッシュフローは、過去10年間で一度もマイナスになっていない。
- 2017年3月期:22.5億円
- 2018年3月期:17.2億円
- 2019年3月期:20.3億円
- 2020年3月期:18.9億円
- 2021年3月期:27.6億円
- 2022年3月期:20.7億円
- 2023年3月期:26.7億円
- 2024年3月期:41.7億円
- 2025年3月期:46.5億円
しかも直近2年で急増している。2025年3月期の46.5億円は過去10年で最高水準だ。事業が生み出す現金の力が着実に強まっている。
なぜ利回り5.41%なのか
PBRは0.82倍と割安圏。時価総額は338億円と小さい。機関投資家が買いにくいサイズで、アナリストのカバーも少ない。要は単純に市場に注目されていないだけだ。
業績が悪いから株価が低いのではなく、知られていないから安い。毎月少しずつ積み上げていけば、5%超の配当を受け取りながら、いつか市場が気づいたときのキャピタルゲインも期待できる。
小型株ゆえの注意点
時価総額338億円は決して大きくない。出来高(1日の売買量)が少ないため、買い注文を成行で出すと想定外の高値で買わされることがある。必ず指値で、少しずつ入れていくことを強くすすめる。
2銘柄の組み合わせとしての魅力
| オカムラ | ニッピ | |
|---|---|---|
| 利回り | 4.15% | 5.41% |
| 時価総額 | 大型 | 小型 |
| 成長性 | 高(連続増配) | 中 |
| 安定性 | 高 | 高 |
| 原油影響 | 小 | ほぼなし |
| 主な市場 | オフィス・物流 | 食品・医療・皮革 |
景気に連動しやすい大型株(オカムラ)と、ニッチで景気に左右されにくい小型株(ニッピ)の組み合わせだ。どちらかが下がったときに、もう一方が支えになる可能性が高い。
買い方のすすめ
長期保有・売らない前提なら、毎月少額ずつ定期的に買うドルコスト平均法が最もシンプルで効果的だ。
- オカムラ:出来高が多いので成行でも問題ない
- ニッピ:必ず指値で。希望価格より少し低めに指値を置いて気長に待つ
そして配当が入ったら、そのまま同じ銘柄に再投資する。4〜5%の配当が複利で回り始めると、10年後には元本が大きく膨らんでいる。
まとめ
ニホンフラッシュはロマンがある。業績回復ストーリーが実現すれば、確かに報われる可能性がある。
でも投資はロマンだけで成り立たない。
毎月コツコツ積み上げて、配当をもらいながら10年・20年待てる銘柄を選ぶ。それが「売らない長期高配当投資」の本質だと思っている。
その基準で選んだときに、オカムラとニッピは今のその他製品セクターで最も安心できる2銘柄だ。
ギャンブルをしない。でも、しっかり配当はもらう。そういう投資もある。
