自分のポートフォリオを業種別に集計したところ、情報通信業の取得利回りが3.96% と他業種に比べて見劣りすることがわかった。
そこで同セクターで「財務が健全かつ利回りが高い銘柄」を探し始めたところ、2つの銘柄が候補に挙がった。
- ゼンリン(9474) ── 国内地図データの雄
- ベース(4481) ── 独立系システム受託開発会社
どちらも情報通信業に分類され、配当利回りは4〜6%台。一見どちらも魅力的に見えた。ただし詳しく調べていくと、2社の間には明確な差があった。
ゼンリン(9474)の分析
事業内容
住宅地図・デジタル地図データの作成・販売で国内シェアトップ。約1,000人の調査スタッフが全国を歩いて地図を更新するという、他社が真似できない「足で稼ぐ」モデルが強み。カーナビ向け・行政向け・法人向けと幅広く展開している。
最新業績(2026年3月期)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 売上高 | 642億円(前年比 −0.1%) |
| 営業利益 | 35億円(前年比 −10.7%) |
| 配当 | 42円/株 |
| 配当利回り | 約4.4〜4.8% |
| 自己資本比率 | 67.9% |
| 配当性向 | 約72% |
ここが気になる
①業績が下向きトレンド
売上はほぼ横ばいなのに、営業利益が1割以上落ちている。カーナビ向けのモビリティ事業が、スマホ地図(Googleマップ)への移行で縮小しているのが主因だ。これは景気の問題ではなく構造的な変化であり、すぐに回復するとは考えにくい。
②配当性向72%は高すぎる
利益の7割以上を配当に回している状態。業績が少し落ちると即座に減配リスクが生じる水準だ。4%台の利回りが維持できるかどうか、正直不安が残る。
③Google・Appleとの長期競合
現時点では共存関係を保っているが、地図データのコモディティ化が進めば、データそのものの価値が下がるリスクがある。
ベース(4481)の分析
事業内容
日本と中国のエンジニアを融合させた独立系の受託開発会社。SAP/ERPの導入・保守支援と、金融・流通・製造向けのシステム開発が柱。「流行に左右されない基幹システムの開発・保守」に特化しており、景気の波を受けにくい安定した収益構造を持つ。
なお4477 BASE(ECサイト作成SaaS)とは全くの別会社。SaaSの成長鈍化とも無関係で、むしろ企業のDX投資を受け取る側の立場にいる。
最新業績(2026年12月期)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 売上高 | 217億円(前年比 +7.7%) |
| 営業利益 | 57億円(前年比 +10.0%) |
| 配当 | 186円/株(記念配当含む) |
| 配当利回り | 約 5.6〜6.3% |
| 自己資本比率 | 75.3% |
| ROE | 30.72% |
| 配当性向 | 50%目途 |
| 連続最高益 | 8期連続 |
| 連続増配 | 7期連続 |
2銘柄を並べて比較する
| 比較項目 | ゼンリン(9474) | ベース(4481) |
|---|---|---|
| 配当利回り | 4.4〜4.8% | 5.6〜6.3% |
| 業績トレンド | 減収減益 ↓ | 8期連続最高益 ↑↑ |
| 自己資本比率 | 67.9% | 75.3% |
| ROE | 約10% | 30.72% |
| 配当性向 | 約72%(高い) | 50%(余裕あり) |
| 連続増配 | なし | 7期連続 |
| 事業リスク | 構造的縮小 | 小型株・中国・記念配当 |
なぜゼンリンではなくベースを選んだか
決め手は「業績のベクトル」と「配当の持続性」の2点だ。
ゼンリンは今の利回りが4%台に見えるが、配当性向72%という水準では業績悪化と同時に減配が起きやすい。カーナビ離れという構造問題が解決されない限り、業績の回復は見込みにくく「利回りが高く見えるだけの罠」になりかねない。
一方ベースは、配当性向50%を業績連動で維持しながら8期連続で最高益を更新している。多少の逆風があっても減配になりにくい構造だ。
ベースの懸念点も正直に書く
①記念配当60円は来年消える
2026年の186円のうち60円は30周年記念配当。来期以降は126円前後に戻り、利回りは4%台前半になる可能性がある。「6%」に飛びつくのは危険だ。
②時価総額約620億円の小型株
流動性が低く、大きく買うと株価が動いてしまう。売りたいタイミングで売れないリスクも忘れずに。
③中国拠点への地政学リスク
エンジニアの約半数が中国籍。米中関係の変化や規制強化の影響を受ける可能性がある。
まとめ:少額から買い始める
調べれば調べるほど、ゼンリンよりベースの方が「今買いたい銘柄」だという結論になった。
記念配当が剥落することを織り込んでも、通常配当ベースで4%前後・業績右肩上がり・財務盤石という組み合わせは十分魅力的だ。
ポートフォリオの情報通信セクターの利回り底上げも兼ねて、まずは少額から打診買いし、決算と配当方針を確認しながら買い増しを判断していきたいと思っている。
※本記事は個人の調査・見解であり、特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
