J-REITと10年国債は逆に動くのか?グラフで確かめたら「ゆるい相反」だった

3C不動産業

前回の記事「不動産株はどこで底打ちする?当てにいかず「待ち方」を決めることにした」で、10年国債とJ-REITの関係に少し触れました。今回は、そこをもう少し掘り下げてみます。

なお、ここでいう10年国債は、個人向け国債ではなく、市場で売買されている10年物の国債(長期金利の指標になるもの)のことです。

J-REITがじわじわ下がっています。10年国債の利回りが3%を超えたのと、タイミングが重なっています。

「国債が上がるとREITが下がる」とよく言われますが、本当にそうなのか。気になって、過去10年のグラフを重ねて確かめてみました。先に結論を書くと、向きは合っているけれど、関係はゆるい、というのが私の答えです。(2026年10月8日時点の情報です)

今、何が起きているのか

東証REIT指数は、8月下旬から10月6日までの約1.5か月で、約7%下がりました。同じ期間に10年国債の利回りは、約2.9%から約3.1%に上がっています。

REITの分配金利回り(予想)は約5.5%で、国債との差は約2.45ポイントです。8月下旬は約2.2ポイントだったので、差は広がりました。国債が上がった以上に、REITが売られた形です。

(訂正)前回の記事では、ETFの実績の分配金利回り(約5%)をもとに「差は約1.9ポイントまで縮んだ」と書きましたが、東証REIT指数全体の予想分配金利回りで比べると、差は約2.45ポイントでした。物差しが違っていたので、今回はこちらの数字に統一します。「割安感が薄れた」と書いた部分も、実際にはむしろ差は広がっています。

過去10年のグラフで見てみた

グラフは、国債利回りが「1年前から何ポイント上がったか」を棒で、REITが「1年前から何%動いたか」を線で重ねたものです。橙の棒が上昇、緑の棒が低下を表しています。

結果は、こうでした。

  • 全体の相関は約-0.13(半年の変化で見ると約-0.24)。向きは「国債が上がるとREITは下がる」ですが、かなり弱い関係です
  • 2019年ごろは、国債が下がってREITが上がり、きれいな逆の動き
  • 2022〜2024年は、国債が上がり続けたのに、REITは横ばいから小さなマイナスで、どちらかといえば逆の動き
  • ところが2025年は、国債が上がっているのにREITも約25%上がり、同じ向き
  • 2026年に入ってからは、国債がさらに上がり、REITは下がって、また逆の動き

つまり、「国債が上がるとREITが下がる」は、いつも当てはまるわけではありません。

※数値は、TradingViewのチャートから線を読み取った概算で、誤差があります。

2025年は、なぜ同じ向きだったのか

2025年に国債とREITがそろって上がったのは、スタート地点に大きな余裕があったからだと思います。

2025年3月末は、REITの分配金利回りが約5.0%、10年国債が約1.5%で、差は約3.5ポイントありました。国債が上がっても、REITには「まだ割安」と見てもらえる余地があった状態です。そこに分配金の増加や、増資の少なさによる需給の良さも重なって、REITが買われ、差は年末に約2.4ポイントまで縮みました。

私の中では、これは「国債が上がったのに、REITが上がった」のではなく、「国債が上がっても、REITがそれ以上に買われて、余裕を使い切った」年でした。差が2.4ポイントあたりまで縮んだところで余裕がなくなり、そのあとは国債が上がった分が、そのままREITの値下がりに出ているように見えます。

国債が先に動く?

「国債が先に動いて、REITがあとから反応する」という見方もしています。ずらして比べてみたところ、REITは国債の動きに約3か月遅れるときが、一番はっきり逆の動きになりました。ただし、これも相関は-0.25〜-0.35と弱いので、確かな結論とは言えません。

理屈としては、国債からREITへ伝わる道筋があります。

  1. 国債との比べっこ:REITは分配金が魅力なので、国債の利回りが上がると見劣りする
  2. 物件の評価額:金利が上がると、投資家がビルに求める利回りも上がり、評価額が下がると見られる
  3. 借り換えのコスト:固定金利の借入が多いので、効き方はゆっくり

減配も頭に入れておく

もうひとつ気をつけたいのが、減配です。今の約5.5%という分配金利回りは、今の分配金が続く前提の数字です。

たとえば1割減配になると、利回りは約5.0%になります。国債が3.1%のままなら、差は約1.9ポイントまで縮みます。「国債との差が大きいから割安」と見るときは、ある程度の減配を織り込んでおいたほうが安全です。

私の今の考え

私は、10年国債の動きがREITに影響する、と見ています。ただし関係は強くありません。そのため、底を当てにいくのではなく、国債が上げ止まるのを確認してから、分割で入ることを考えています。

見ておきたいのは、次の2つです。

  • 国債が上げ止まったか
  • 上げ止まった理由は、インフレの落ち着きか、景気の悪化か

景気の悪化で金利が下がる場合は、空室や賃料の悪化でREITも一緒に売られることがあるからです。

一文で言うと、こうです。

「国債が先、REITがあと。ただし関係はゆるいので、決め打ちせず、分けて待つ」

※この記事は個人の考えを整理したもので、特定の商品の売買を勧めるものではありません。投資の判断は、ご自身でお願いします。

参考にした情報

  • 株式マーケットデータ(東証REIT指数・分配金利回り)
  • モネックス証券「長期金利上昇下での2026年のJ-REIT価格見通し」
  • SBI証券 市場レポート(2025年3月末)